配偶者に借金癖があったとき、あなたはどうしますか?
一生を添い遂げるつもりで始めた結婚生活も、借金が原因で簡単に崩れ去ります。
軽い気持ちで抱えた借金はでも、自分の身を滅ぼしかねません。
このページでは、借金を理由に離婚をするために知っておきたい全知識を解説しています。
配偶者の借金を理由に離婚を考えている人にとっては知りたい情報が詰まっているため、必見の内容です。
※本ページにはPRが含まれます。
目次
パートナーの借金を理由に離婚をすることは可能
パートナーの借金を理由に離婚することは可能です。
離婚をするためには段階ごとに3つの方法があります。
- 協議離婚
- 調停離婚
- 裁判離婚
基本的に双方の合意があれば離婚をできますが、財産分与などで揉めることが多いです。
離婚するにあたって双方の合意があれば、協議離婚や調停離婚で済みます。
しかし片方が離婚を拒否したり、条件面で折り合いがつかなかったりすると、離婚裁判に進まなくてはなりません。
協議離婚や調停離婚は双方合意すれば離婚成立
協議離婚や調停離婚は、双方が合意すれば離婚が成立します。
協議離婚は夫婦で離婚届を作成し、役所に提出するだけで終了です。
調停離婚は、家庭裁判所での話し合いの中で双方が合意に達した場合、その時点で離婚は成立します。
協議離婚や調停離婚の場合、離婚理由は問題になりません。
そのため、借金が理由でも条件を満たせば離婚できるのです。
調停がうまくいかない場合は離婚裁判
協議や調停がうまくいかない場合は、話は離婚裁判に持ち込まれます。
離婚裁判で離婚をするためには、法律上の離婚理由が必要です。
- 配偶者に不貞な行為があったとき
- 配偶者に悪意の遺棄をされたとき
- 配偶者の生死が3年以上明らかでない
- 配偶者が回復見込みのない精神病にかかっているとき
- 婚姻関係を継続しがたい重大な事由があるとき
民法770条1項の各号に定められている条件を満たすことが確認できないと、離婚裁判で離婚はできません。
不貞行為は離婚の理由になる
不貞行為は離婚の理由に該当します。
不貞行為とは、浮気や不倫などといった、婚姻関係を結んでいない人と肉体関係を持つことです。
不貞行為を理由に離婚を求める場合は、配偶者と浮気相手との肉体関係があったという証明をする必要があります。
パートナーの借金癖は離婚理由になり得る
パートナーの借金癖は、立派な離婚理由です。
借金癖や浪費癖は、離婚事由における「悪意の遺棄」に該当します。
ギャンブルなどで作った借金を理由に、必要最低限の結婚生活に必要な費用を渡さない場合も悪意の遺棄です。
この場合、借金は原則悪意の遺棄をした側が支払い責任を負います。
3年以上の生死不明は離婚の理由として認められる
配偶者が3年以上生死不明の場合も、離婚の理由となります。
配偶者が3年以上にわたって安否がわからない場合、結婚生活は困難と判断されるためです。
3年以上の生死不明を理由に離婚をする場合、配偶者が音信不通であったとしても離婚を成立させることができます。
警察などに提出した捜索願などが証拠書類となるため、必要書類をそろえることができれば完了です。
回復見込みのない精神病の判断基準は不治の病かどうか
配偶者が回復を見込めない強度の精神病を患うと、結婚生活を続けることが難しくなります。
精神病に関して、罹った本人には責任はありません。
しかし、婚姻生活の実態が失われることになるため、法律上離婚の理由として認められるのです。
回復見込みのない精神病を理由に離婚を申し出るときは、医師による医学的な診断が必要となります。
そのため、借金癖などを精神病として扱うことはできないので注意しましょう。
婚姻関係を継続しがたい重大な事由はいくつか種類がある
婚姻関係を継続しがたい重大な事由も、離婚をする理由として成立します。
- 性格の不一致
- 暴力
- 侮辱
- 虐待(DV)
- 性生活に関する不満
- 同性愛
- 性交の不能
- 配偶者家族との不和
- 配偶者による過度な宗教活動
- 犯罪による服役
- 金銭的問題
夫婦関係が事実上破綻しており、精神的・社会的・経済的に困難な状況である場合に、婚姻関係を継続しがたい重大な事由を原因とする離婚が認められます。
しかし、双方の妥協や努力によって改善できると判断された場合は、離婚は認められません。
婚姻関係を継続しがたい重大な事由として認められる条件は厳しいことに注意しましょう。
借金の内容によって離婚後の支払い責任は変わる
抱えた借金の内容や事情によって、支払い責任は変化します。
- 結婚する前に抱えていた借金
- 結婚してから作った借金
- 結婚生活に関係しない借金
- 両親からの借金
これらの借金は、支払い責任がすべて違うのです。
まずは借金の内容別に、支払い責任の所在を解説します。
結婚する前に抱えていた借金は一度肩代わりをしてから共有するのが主流
結婚する前にどちらかが借金を抱えていた場合、一度パートナーが肩代わりするのが主流です。
結婚して借金を肩代わりするとなると、返済資金は結婚費用から捻出します。
結果的に借金を夫婦で共有することになるものの、長きにわたる結婚生活を送るようであれば、借金はできるだけ早く返済しておくのが賢明です。
仮に肩代わりした借金を抱えたまま離婚をする場合は、財産分与の時に調整されて配分となります。
配分できる財産がないのであれば、離婚後に分割して返済する旨を記載した文書を作成するようにしましょう。
結婚してから作った借金は夫婦で分担して支払う義務がある
結婚生活を送っていくうえで夫婦が抱えた借金は、名義人に関係なく、分担して返済する必要があります。
結婚期間中の借金は分担するという義務が、法律で定められているのです。
抱えた借金は離婚時の財産分与の際に清算の対象となります。
双方の支払い能力を勘案し、負担する割合を調整するのです。
そのため、夫婦で借金を抱えたまま離婚するとなると、返済するまで縁は切れません。
結婚生活に関係しない借金は、借金をした本人に支払い責任がある
結婚生活に関係しない借金を結婚している間に抱えた場合は、借金をした本人にのみ支払い責任が課されます。
結婚生活に関係ない借金とは、片方の利益のためだけに利用されたお金のことを指し、パチンコや一方的な遊興費などが対象です。
借金をしていない側は、清算時に借金の負担を拒む権利があります。
離婚時に完済できていない場合も、使用目的によっては清算の対象となりません。
自分のために借りたお金は自分で返す必要があるのです。
両親からの借金は夫婦間で話し合って返済する
離婚する際には、両親から借りる借金の支払い責任も決めなくてはなりません。
身近で外部機関ではないために借りやすい、という理由で、両親から借金をしている夫婦は多いです。
両親から借金をしている場合は、返済方法を夫婦間で話し合う必要があります。
一番好ましい方法は、共有財産から一括で返済をしてしまうことです。
しかし、離婚時に資産が借金額に届かない場合は、離婚後に返済します。
負担方法や割合は夫婦間で決める必要があるため、話し合う機会を設けましょう。
住宅ローンの返済は事前に整理が必要
住宅ローンがまだ残っているうちは、場合によっては離婚ができない可能性があります。
住宅ローンは「住宅」という資産形成を目的にした借金のため、完済後の住宅をどちらが所有するのかを決めなくてはなりません。
住宅は大きな財産であるため、どちらが所有権を持つかで話し合いが必要となります。
住宅ローン完済後の資産のゆくえや、返済の負担割合を決めてからでないと、離婚をすることはできません。
パートナーの借金癖を治すためのに取るべき方法
ここからは、パートナーの借金を治すために取るべき方法を解説していきます。
- 借金の総額を把握する
- 決して肩代わりをしない
- 高い利息で返済していることを再確認させる
- 自由にお金を使えない環境を作る
- 返済計画を立てて一緒に実行する
- 精神科でのカウンセリングを受けてもらう
- 身内に借金を抱えていることを告白する
- 債務整理をする
上から順に実行していくことで、パートナーの借金癖に対応していくのがおすすめです。
借金癖がついたまま結婚生活を送ることは難しいもの。
パートナーの借金癖を治さないことには、長期的に安定した結婚生活はないと考えましょう。
まず借金の総額を把握する
まずは、パートナーが抱えている借金の総額を把握します。
借金の総額があいまいなことで、離婚時の手続きでもたつくことが多いためです。
離婚を考えていないにしても、いくら返済しなくてはならないのかを把握しておくことは重要なポイントとなります。
そのため、パートナーの借金が発覚したらまず借用書を確認し、借金総額を把握するようにしましょう。
決して肩代わりをしない
パートナーの借金を返済するにあたって重要なことは「決して肩代わりをしない」ことです。
長期的に安定した結婚生活を望むのであれば、パートナーの借金癖は治しておかなくてはなりません。
そして、借金癖は自分で苦労して返済をしない限り、治ることはないのです。
肩代わりをしてしまうと、パートナーの借金癖は治らないままでしょう。
そのため、仮にパートナーが返済に苦しんだとしても、荒療治だと考えて決して肩代わりはしないようにしましょう。
高い利息で返済していることを再確認させる
高い利息が付いている状態でお金を借りていることを再確認させることも重要なポイントです。
消費者金融などの貸金業者からお金を借りるときに必ずついてくるのが利息です。
短期的にお金を借りている場合はそれほど負担にはならないものの、長期的にお金を借りているのであれば大きな負担です。
そのため、借金癖のあるパートナーには利息負担の大きさを再確認させることが効果的な方法でしょう。
自由にお金を使えない環境を作る
パートナーの借金癖を治すためには、自由にお金を使えない環境を作ることが必要です。
お小遣い制にしたり、自由に買い物にいけなくしたりするのが効果的でしょう。
自由にお金を使えないことは、借金癖のある人にとって非常なストレスとなります。
しかし、借金癖を治すにあたり、追加で借金を作るわけにはいきません。
心を鬼にして、借金癖のあるパートナーが自由にお金を使えない環境を作るようにしましょう。
返済計画を立てて一緒に実行する
借金がこれ以上増えないよう準備をしたら、パートナーと返済計画を立て、一緒に実行に移しましょう。
返済計画を立てる際の注意点は、「無理をしないこと」です。
自分たちの返済能力を超える返済計画を立ててしまうと、いずれ返済ができなくなります。
そのため、あくまでパートナーと一緒に、自分たちの身の丈に合った返済計画を立てるようにしましょう。
返済計画を立てたら常にそれを意識して動くことで、借金癖のあるパートナーに返済への意識付けをすることもできます。
精神科でのカウンセリングを受けてもらう
借金癖は一種の病気です。
そのため、借金癖のあるパートナーには、精神科でのカウンセリングを受けてもらうことをおすすめします。
借金癖の人は持つ一番の特徴は「最終的には何とかなる」と借金を楽観視していることです。
また、借金癖を持つ人のほとんどは、本人は自分が借金癖を持っていることを自覚していません。
そのため、一番近くにいる人間が手を引いて、道を示してあげなくてはならないのです。
精神科でのカウンセリングを受けることで、時間がかかったとしても、お金に関する考え方を変えることができます。
身内に借金を抱えていることを告白する
パートナーの親族に「借金があること」を告白するのも、借金癖を治すために必要なポイントです。
借金癖を持つ人は、周囲の目を必要以上に気にする傾向があります。
そのため、近い人間に借金をしていることを知られることで、自身の中で焦りを生むのです。
焦りは人間を動かす強い感情のため、おのずと返済に向けて動いてくれる可能性も出てきます。
後ろめたさや心苦しさは出てくることもありますが、パートナーのためを思い、我慢しましょう。
債務整理をする
パートナーの借金癖が取り返しのつかないところまで進んでおり、どうしても借金を返済できない場合は債務整理をしましょう。
債務整理にはさまざまな方法があり、主に4種類です。
- 任意整理
- 自己破産
- 個人再生
- 特定調停
状況によって、取るべき債務整理の方法は変わります。
債務整理をすると、最低でも5年間は新規の借金ができなくなるため、パートナーの借金癖を治すチャンスになるのです。
任意整理をすると借金の減額が期待できる
任意整理とは、数ある債務整理の方法の中で最もよく利用されている手続きです。
将来の利息を減免し、長期にわたる分割払いや、債務額を減らしたうえでの一括返済を交渉します。
裁判所が介入しない手続きであるため、債務者と債権者の間で合意ができれば完了です。
分割支払いの場合は3年から5年をかけて返済します。
また、債務者と債権者との間には司法書士が立ってくれるため、専門的な知識を身に着ける必要がありません。
自己破産は裁判所での手続きが必要
自己破産を申請するためには、裁判所での手続きが必要です。
裁判所に自己破産を申告し、面積許可をもらえれば、抱えている借金が全額免除されます。
ただし、自己破産が認められるのは、債務に対して支払いが不能であると判断された場合にのみです。
また、借金をした理由にも左右されます。
謝金をした理由がギャンブルや浪費によるものである場合は、支払い不能とはなりません。
借金の理由などの免責が不許可となる条件を満たしていると、自己破産をすることはできないのです。
借金を減額し、分割払いにしたいなら個人再生
個人再生は、住宅などの財産を手放したくない場合におすすめの債務整理方法です。
大幅に減額された債務を、最大5年間の分割払いで返済をします。
残った債務は免除してもらうことが可能です。
個人再生を利用するには、継続的な収入を見込めることと、債務総額が5000万円を超えないことが条件となります。
任意整理と自己破産の間を取ったような手続きが個人再生です。
個人再生を利用すれば、決められた期間の分割払いだけ乗り切ることで、住宅などの残った財産を失わずに済みます。
特定調停を起こせば裁判所に介入してもらえる
特定調停とは、債務者が申し立てることで、簡易裁判所が仲裁に入るものです。
返済条件の軽減などを条件に双方が合意するように促してくれます。
特定調停は、借金を整理して生活を立て直せるようにしかるべき支援をしてくれるのが特徴です。
しかし、特定調停に良い顔をしない債権者もいます。
債権者が特定調停に良い顔をしなかった場合、特定調停にかかる期間分の遅延損害金を追加で請求される可能性があるのです。
また、将来的にかかる利息の一部の返済を求められることがあるため、利用するにあたってはしっかり考えることをおすすめします。
債務整理をする場合は弁護士に相談しよう
債務整理をする場合には、専門家である弁護士や司法書士に相談するのが重要です。
債務整理は法律の知識や手続きが必要となるため、素人にはハードルが高くなります。
そのため、債務整理をする際にはあくまで専門家の手助けを受けながら進めるようにしましょう。
しかし、専門家に相談するにしても、相談料というものがかかります。
相談料を支払うのが惜しいのであれば、債務整理以外の方法を検討しましょう。
パートナーの借金癖が治らないなら離婚を考えよう
パートナーの借金癖が治らない場合は、離婚を考えましょう。
借金癖は一種の病気のため、継続すると身を滅ぼしかねません。
そのため、どんなに対策を講じてもパートナーの借金癖が治らない場合は、自分の将来を考えて離婚を切り出すことをおすすめします。
離婚した直後の借金返済は金銭的に厳しい
離婚した直後に借金を返済することは難しいです。
離婚をすると財産分与をするため、所有する財産が減ります。
財産は減っても借金の総額は変わらないため、相対的に返済が苦しくなるのです。
離婚した直後に借金を返済することは難しいため、離婚後の金銭的状況を考えて返済計画を立てるようにしましょう。
離婚後の養育費の支払いは親権者側が請求できる
子どもがいる状態で離婚をする場合、気になるのは養育費です。
養育費は親権を持たない側が持つ側に定期的に支払うことが義務付けられています。
生活保持義務という強い義務であるため、「自分と同じ水準の生活」ができる金額を送らなくてはいけません。
そのため、住宅ローンの返済や慰謝料の支払いが残っていたとしても、養育費は優先的に支払う必要があるのです。
借金を抱えていても養育費の支払い義務は残る
借金を抱えたまま離婚をしたとしても、養育費の支払いは生活保持義務として残ります。
基本的に、離婚をするにあたって発生する負担は養育費とは何の関係もありません。
借金の状況は度外視して養育費は請求されるのです。
養育費の金額は収入を基準に、家庭裁判所が定めた算定基準によって決められます。
自己破産の申請をしていても養育費は免責対象にならない
借金の返済ができず、自己破産を申請している場合も、養育費の支払いが免除される理由にはなりません。
自己破産をしていても、親権者は養育費を請求できます。
場合によっては給料や財産の差し押さえによって養育費を回収するなどの強制執行も可能です。
強制執行をおこなう場合には、養育費の支払い義務を明記した公的文書が必要となります。
どうしても養育費が支払えないなら「養育費減額調停」を起こす
養育費を支払う側に養育費の支払い能力がなくなった場合、最後の手段となるのが「養育費減額調停」です。
養育費減額調停を起こすと、家庭裁判所で養育費の金額が再検討されます。
養育費減免調停によって養育費の減額が認められる理由は
- 離婚後の失業
- 離婚後に疾患
- 予測できない事情変更
などです。
ただし、借金が理由で養育費減額調停を起こすことはできません。
自分で背負った借金はあくまで自分で対処する必要があるのです。
借金を理由に離婚をするなら準備が必要
借金を理由に離婚をすることはできます。
しかし、借金を理由に離婚するためには相応の準備が必要です。
協議離婚や調停離婚で済むのであれば問題ありませんが、裁判にまで持ち込んでしまうと、準備すべき事柄は非常に多くなります。
注意点も多く存在するため、慎重に離婚に向けて行動するようにしましょう。